ドイツの列車

ICE

Rheingold

InterCity

CityNightLine

LHAE

Metropolitan

TEE RA

編成表


●はじめに●

 2000年6月7日、ミュンヘンでドイツ鉄道(DB AG)、スイス国鉄(SBB)、そしてオーストリア国鉄(OeBB)の3鉄道会社はこれら3国を結ぶ国際旅客列車"TEE Rail Alliance"(以下TEE RAと記載)の戦略的な国際統合の契約が調印された。この背景にあるものは各国航空会社がここ数年で国際統合を進めている前例があり、DB、SBB、OeBBも鉄道輸送にヨーロッパ化を目指すもの(とはいえ当面は南ドイツ、スイス、及びオーストリアに限られているが)と言える。


●路線について●

 この列車が走る路線のリストはまだ出来ていないが、チューリッヒ ー ブレゲンツ ー ミュンヘン間についてはこの3ヶ国鉄道会社が中心として位置付けている。SBBの長距離旅客部門の責任者Vincent Ducrot氏によるとスイスから年間50万人の旅客がミュンヘン空港を利用しているという。
 今日この区間の鉄道による移動は4時間以上必要で、自動車利用より1時間以上多くかかることから利用者にとって魅力的ではない。少なくともミュンヘン ー リンダウ間の電化は設備投資が非常に高価となる点で実現されにくい望みである。また、路線距離157Kmのメミンゲン経由(または178Kmのケンプテン経由)の架線がボーデン湖の街リンダウからゲルテンドルフ付近のミュンヘンSバーンの終点迄引かれていない。この2つの路線の設備に4億マルクのコストが必要であるとしている。


●その車両は?●

 2001年3月27日にDB、SBB、OeBBは共同で新しい車両発注を通達した。この車輛は400Km程度迄の中距離用で最高速度200〜230Km/hとなる予定。DB AG向け50、SBB向け34、そしてOeBB向け32列車からなる116列車の振子車両共同の購入を通して、鉄道会社は車両製造コストを下げ、かつ生産性を年間約5%上昇させたいとしている。発注の総額は約30億マルク(25億スイスフラン/210億シリング)となっている。新しい車両は2005年から登場し、旅客に統一されたサービスコンセプトを提供する計画である。
 全て又は一部の列車はイタリア(3000V直流)直通用に2電源仕様が登場となる。
 車両の仕様用件は200mの列車長で451座席あるSBBの振子車両"ICN"が車両コンセプトのベースとなる。DB AGはすばらしく美しいICE-T(ET411形、415形)及びICE-TD(VT605形)ではICNに比べ同じ列車長で22%座席数が少ないところから経済性に問題があるとしている。EUの規則からは新規に車両開発を通達しなければならないところであるが、今の処はDBが1999年に入札で購入しているICE-Tの後継シリーズの利用をメーカーと協議中である。
 SBBは自身で(明らかなところでは、メーカーとは協議無し)24編成の振子列車をICE-TやICE-TDとの連結可能に改造し、多重制御出来る車両群を220編成の長距離振子列車生じさせる。これはICNの連結器"Scharfenberg"タイプからBSI連結器に交換することと標準形ケーブル(WTB:Wired Train Bus)のハードウエアについての多重制御のためのソフトウエア問題の解決が必要である。それと共にICNとICE-T又はICE-TD併結を通してシャフハウゼン ー チューリッヒ間及びザンクトガレン ー チューリッヒ間の混雑を解消する計画である。
 2002年1月31日にはこの列車の正式な概要及び発注先も決定される予定となっている。


●TEE RAは既にサービスを開始●

2001年4月1日からTEE RAはファミリーカードという家族パスを発行した。このパスはDBAG、OeBB、SBBの3鉄道会社間の通し切符を持つ父母又は祖父母が17歳以下の子供と共に乗車した場合その子供が無料となるカードである。このカードは駅の旅行センターで無料発行され、同日からサービスが開始された。


●乗務員の共通化●

2001年10月1日からはドイツ/スイスの国境では、通常乗務員の交代がなくなった。当面の対象列車はシュトゥッツガルト ー チューリッヒ及びミュンヘン ー チューリッヒ間のICEとECである。





*ロゴマークの注記:
 TEE Rail Alliance のロゴマ−クは統一されたサービスとマネージメントのシンボルである。それは一体となったアルペン地方の高品質な国際旅客列車を意味している。
 "TEE"は往時の"Trans-Europ-Express"の意味ではなくなり、"Trans-Europe-Excellence"である。


Text by Akira Inoue (aav18170@par.odn.ne.jp)
Update: 20.10.2001