BR 605 (20編成) |
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ドイツの車輌 ICE
電気機関車 ディーゼル機関車 蒸気機関車 電車 気動車/蓄電池車 客車 貨車 事業用車 |
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はじめに |
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ドイツ鉄道株式会社(DB AG)は、1994年夏DWA、DUEWAG、FIATそしてSiemensの4社からなるコンソーシアムICNTに長距離用振子式電車ICE-T、411形、415形を発注した。この列車は路線規格を改良されていない長距離路線に投入され、その振子技術により魅力的な運行時間と乗客にとって洗練された快適さ、そしてICE水準の高品質なインテリア空間を提供するに至っている。 この契約が締結されると、DB AGは長距離路線ネットワークで非電化、または部分電化路線での高品質な長距離旅客列車の運行提供が必要となった。これの最初の対象が東西ドイツを結ぶSachsen路線のNuernberg - Hof - Chemnitz - Dresdenと南ドイツアルペン地方Allgaeu路線のMuenchen - Lindau、更にその延長路線であるスイスZuerich迄の区間である。これは1994年11月にに出された一通の情報質問から始まり、1995年2月、4輛編成電気式ディーゼル振子列車に発注となった。 DB AGに引き渡された最初の列車はAmmendorfとUerdingenから1999年2月にWildenrathの試験センターで試運転を開始し、2001年に入ってからはHofを基点に乗務員の習熟訓練が行なわれた。 |
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製造に至る経緯 |
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振子式電車であるICEファミリーの411形 、415形のNeumeister Design等によるデザイン提案が採用となり、ICE3もそれと同様のデザインと設備で製造されたため、この第3の新しい長距離列車もこの製品哲学を継承した。1995年夏に加えられたこの新しい列車の仕様書には、乗客設備部分について同様のデザインと同じ設備エレメントを使用する旨が注記され、電気式ディーゼル駆動による屋根上の排気ダクトや側面の下方にあるエアコン設備の吸気口の配置等が変更された。 DB AG は1996年7月初旬、ついにSiemens、DUEWAG、そしてDWAにSiemensを長とするコンソーシアムにICE-VTとして発注が行われた。発注されたのは運転操業開始と連邦鉄道局の認可を得た20編成の4輛タイプ、電気機械式Siemens-振子装置付き電気式ディーゼル高速列車(今日のICE-TD、VT605形式)である。 変更点は、例えば今迄の小さなBistroキッチン部分でフルタイプの食堂車用に拡大、又はスイスセットと呼ばれているスイス規格の列車保安システム、Signum-IntegraとZUB121、スイス規格の列車無線、特別なSBB後方信号を取り入れているものが追加発注されている。 |
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技術仕様 |
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DB AGのマーケティングと技術の事前設定で作成された技術設定書には、4輛編成の強制振子装置付き電気式ディーゼル列車で、最高時速200Km/h、195座席、そして最大車軸荷重14.5tとなっている。ここではまた、当初から電車方式のICE-Tと車体構造とデザインコンセプトを変更しないことが掲げられている。このため、乗客に車内の可能な限り大きな部分を提供する様全ての駆動部分と補助機械を床下に配置した。それにより、駆動性能はこの時点で市場で得られる最も高性能な排気エミッションEuro--規格適合の床下ディーゼルエンジンの4
x 560Kwとなっている。 制御系統はVT605形3編成12輛の協調運転、又は電車方式ICE-Tとの併結協調運転が可能な仕様となっている。 Siemens-振子技術の採用は台車の中に電気駆動モーターを配置することにより、貴重な車体床下空間を他の機器類に譲ることが可能となり、床下部分に全ての駆動機関及び補助機関を釣り下げられることが挙げられる。 この良好な駆動機器の効率は、消耗の少ない効率の良い動的ブレーキ、多重かつ常時性能は単行時と同様に併結時にも非常及び補助運転がエレガントに実現可能。また運転停止時には1000Vの電力供給が行われる。そして位置決めの制約なしで各コンポーネントの配置が可能となった。 駆動コンセプトは駆動部と補助駆動供給機器において運転開始当初より低燃費と高性能であったVT610形が模範となった。 車体部分の設計はAmmendorfにある、今日のBombardier TransportationとなっているDWA、及びUerdingenにある今日のSiemens DUEWAG Schienenfahrzeuge GmbHとなっているDUEWAGが担当した。そして、電気系統部の開発はこのプロジェクトの責任部署であるErlangenのSiemens Verkehrstechnikが行った。 先頭車両の製造はAmmendorfのBombardier Transportationで躯体製作はイタリアSaviglianoにあるFIAT Ferroviariaが下請けた。中間車両については全てUerdingenにあるDUEWAGによって製造された。 このプロジェクトの総括部はErlangenの3社のコンソーシアムがプロジェクトオフィスを構え、顧客(DB AG)と3社間との間で調整をはかり、技術的な調整や縦割り問題(日程調整、日程監視、品質保持、設計変更調整、記録作成、教育、重量管理、そして保証処理等)と購買調整などの解決にあたった。 |
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車体部分について |
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VT605の車体はリブなしのアルミニウム合金である。横桁のない台枠は溶接接合され、力学上強化されたアルミニウム構造で出来ている。力強い外側枠部は台枠とその部分に重たい床下機器を溶接によって接合、強化されている。 先頭車両の前頭部分にある衝撃抑止部はバッファーの高さとスカート下部におさめられている。先頭の顔の部分はガラス繊維で強化されたプラスチック(FRP)製で車体下部に接着されている。先頭車両の連結器はブレーキ抵抗とそれに付帯する屋根上部のカバーの為の支えとして溶接されている。 台枠部分は台車間にカバーで覆われている。 |
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車両各論 |
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○605.0(2等先頭車) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() 605 003 (Photo by Bemoler) |
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○605.1(2等中間車) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() 605 103 (Photo by Bemoler) |
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○605.2(2等中間車) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() 605 203 (Photo by Bemoler) |
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○605.5(1等先頭車) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() 605 503 (Photo by Bemoler) |
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インテリア |
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著名なデザイナーのアレキサンダー・ノイマイスターが中心となって行ったインテリアデザインはICE3や電車方式のICE-Tと同様の造形、モジュールを使用している。 ○605.0(2等先頭車) 先頭部ラウンジには8座席及び55座席の開放室で全て禁煙座席になっている。先頭車両出入口ドアは全ての第3世代ICEと共通でラウンジ部と開放室の間に配置されている。ドア側の開放室の一部には、季節によって約4.8mの自転車を10台置けるための留め具を取り付けた自転車専用スペースに改造することが出来る。 ○605.1(2等中間車) 車両全体が禁煙の45座席ある開放室と遊具付きのファミリールーム、車椅子対応部、身障者トイレ、そして両車端部に各一つのトイレが配置されている。 ○605.2(2等中間車) 40座席の開放室(喫煙)とボードキッチン(ギャレー)に立ち席テーブル/カウンターで構成された「ビストロ」となっていて、ギャレーから各座席に飲食物のシートサービスができる。その隣に乗務員室と2つのトイレを挟んで2つ目の出入口ドアが配置されている。 ○605.5(1等先頭車) ここのラウンジ部にある6つの禁煙座席と5座席の喫煙座席を含めた開放室は総べて本革張りの合計35座席で構成されている。2ケ所の大テーブル付きの向かい合い座席グループは、肩程の高さのある仕切りで区切られており、保護された空間の雰囲気を演出したビジネス個室と位置付けられている。1等車の一方行向き座席はビデオモニターが付いている。
運転席後部、ラウンジ部の長距離乗客は新しい体験ができる。それは以前はレールバスで、その後はVT628で可能であった運転手の肩ごしから前方を眺めらることである。新世代ICE(ICE3、ICE-T、ICE-TD)は、これを新しい要素を加えて可能にし、ダイナミックな視界を快適な座席から提供することが可能となった。 インテリアは基本的に自然の素材を利用している。広い面積の本目化粧板に1等車の黒い本革や、2等車の青いシート生地と絨毯、そしてクローム処理された留金が付いた曇りがラスの荷物棚のコンビネーションによるデザインは普遍的で堅実な環境を提供している。 室内騒音レベルは高効果遮音を通してエンジン最大回転200Km/h走行時で68dB(A)とディーゼル列車としての低騒音は特筆に値する。 運転室、運転台は電車方式のICE-Tと同構造である。ここで特筆すべき点は電車方式のICE-TとICE-TDが併結協調運転を行う場合に備えて、「パンタグラフの上げ/下げ」と「メインスイッチの入/切」がこのディーゼル列車にも設備されていることである。 |
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性能試験 |
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1999年から始まった試運転の計画は、姉妹プロジェクトのICE3やICE-Tでの経験から順調に推移している。1999年4月には605.001が、2番目の列車はその直後にWildenrathの試運転線で自力で最初の1周を廻ることに成功した。 DB AGは内部で新たに4桁の番号を長距離電車、気動車列車に付けている。最初の2桁が"55"はVT605である。(つまり5501編成の場合、605.001/101/201/501となる) 8月18日には、5503編成がHamm - Bielefeld線上のRheda - Oelde間で初めて200Km/hを記録した。更に2000年の初めには5502編成が試験計画の走行性能確認試験が始まり、1月13日にGoettingen - Hannover間の高速走行で222Km/hを記録、これはドイツでの気動車最高速度となった。その後は冬期計測試験をTrier - Merzig間及びRoth - Donauwoerth間で行う。また、UIC518で規定されている長距離走行試験の為に初めてMuenchen中央駅にも顔を出した。姉妹車輌でもあるICE-Tが営業運転しているStuttgart - Singen間やGeislinger Steige、またVT610のルートでもあるNuernbrg - Hofでも試験をしている。2000年2月11日には、当時通行止めとなっていたライン左岸線のEifelを通ってMinden迄回送した。数々の性能確認試験で成功を収めたVT605形は最後の騒音試験を2000年の復活祭にDonauwoerth - Augsburg間で行った。 列車保安システム(ZUB262)の確認の為、5511編成が5月には初めてスイスに渡った。試験はZuerich近郊線で行い、無事成功し、5月12日の午後にはZuerichからBasel、Freiburg、Mannheim、Koeln経由でWildenrathの試験センターに戻った。 DB AGの監督の基、2000年夏期の路線改良作業終了に合わせてNuernberg - Dresden間を試運転した。 車輌性能試験と同時にDB乗務員の乗務教育を始めている。1999年から5月には初めて列車運転士と列車長の教育が開始された。1999年12月には、未完成の(自力走行できない)5509編成がHofに入線し、12月と翌年2月、3月にはHof工場の職員がVT605の検査訓練を行っている。2000年1月28日には5508編成が自力でHofに入線した。 2001年には開業を前に、最終的な乗務員訓練が営業予定路線であるNuernberg - Dresden間とNuernberg - Muenchen - Lindau間でより実践的な運行を目的とし、DB AG従業員のみを対象に事前予約制で以下の試運転列車の試乗を認めている。 2月19日から22日と3月7日から10日: -Zug 77981 (LICE-TD [2 x VT605]) Hof 5:03 - Marktredwitz 5:29/5:31 - Nuernberg 7:04 -Zug 77982 Nuernberg Hbf 7:34 - Bayreuth 8:35/8:37 - Hof 10:03/10:13 - Plauen 10:50/11:00 - Reichenbach 11:21/11:24 - Zwickau 11:43/11:45 - Chemnitz 12:30/12.32 - Freiberg 13:07/13:10 - Dresden Hbf 14:07 -Zug 77983 Dresden Hbf 14:20 - Freiberg 15:00/15:02 - Chemnitz 15:52/15:54 - Zwickau 16:36/16:40 - Reichenbach 17:00/17:03 - Plauen 17:24/17:28 - Hof 18:02/18:18 - Bayreuth 19:30/19:32 - Hersbruck 20:15 -Zug 77984 Hersbruck 20:30 - Bayreuth 21:27/21:29 - Hof 22:34 2月23日、26日から3月2日、3月5日、6日: -Zug 77987 Nuernberg 6:54 - Treuchtlingen 7:45/7:48 - Donauwoerth 8:07/8:09 - Muenchen Hbf 9:13 -Zug 77988 Muenchen Hbf - Buchloe 10:17/10:24 - Memmingen 11:08/11:25 - Lindau 12:27 -Zug 77889 Lindau 13:30 - Memmingen 14:56/14:58 - Buchloe 15:43/15:44 - Muenchen Hbf 16:33 -Zug 77986 Muenchen Hbf 17:02 - Donauwoerth 18:01/18:06 - Treuchtlingen 18:26/18:28 - Nuernberg 19:21 |
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![]() ICE-TD (Photo by Koji Abe) |
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営業運転の開始と中止 |
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2001年6月10日の夏ダイヤ改正からVT605は(一部Muenchen -) Nuernberg - Hof - Dresden、及びMuenchen - Lindau - Zuerichに投入され、営業運転を開始した。しかしながら2001年8月現在、Nuernberg - Dresden線の振子制御コンピュータのプログラム不良による初期トラブルが頻発し、定時運行される列車の方が例外的という状態が続いている。このダイヤは改正前のIRのダイヤと近いことから、利用客はICE料金を加算された上に定時運行が出来ないことにいら立ちを隠せない状態が続いた。 2002年3月に入り、このトラブルもようやく落ち着きを取り戻すことが出来たようである。それまでは定時運行率も精々80%止まりだった列車も90%台にまで回復し、DBAG広報からも本来ならば当たり前の定時運行宣言をするに至った。 >> Sommerfahrplan 2001 (1) Muenchen - Lindau - Zuerlich -ICE 92 Muenchen Hbf 8:14 -> Zuerich HB 12:27 (2x605) -ICE 95 Zuerich HB 13:33 -> Muenchen Hbf 17:48 (2x605) ※Haltebahnhofe: Muenchen Hbf - Buchloe - Lindau Hbf - Bregenz(OeBB) - St.Margrethen(SBB) - St.Gallen(SBB) - Winterthur(SBB) - Zuerich Flughafen (SBB)- Zuerlich HB(SBB) (2) ICE Line 17 (Muenchen -) Nuernberg - Hof - Deresden -ICE 1563 Hof Hbf 06:15 -> Dresden Hbf 09:10 (605, zw. 2x605) -ICE 1565 Nuernberg Hbf 06:37 -> Dresden Hbf 11:10 (605, zw. 2x605) -ICE 1567 Nuernberg Hbf 08:37 -> Dresden Hbf 13:10 (605, zw. 2x605) -ICE 1569 Nuernberg Hbf 10:32 -> Dresden Hbf 15:10 (605, zw. 2x605) -ICE 1661 Nuernberg Hbf 12:37 -> Dresden Hbf 17:10 (605, zw. 2x605) -ICE 1763 Nuernberg Hbf 13:37 -> Zwickau(Sachs)Hbf 16:06 (605) -ICE 1790 Muenchen Hbf 13:29 -> Zwickau(Sachs)Hbf 18:14 (2x605) -ICE 1663 Nuernberg Hbf 14:32 -> Dresden Hbf 19:10 (2x605) -ICE 1665 Nuernberg Hbf 16:37 -> Dresden Hbf 21:10 (2x605) -ICE 1667 Nuernberg Hbf 18:37 -> Dresden Hbf 23:10 (605) -ICE 1669 Nuernberg Hbf 20:37 -> Hof Hbf 22:02 (2x605) -ICE 1561 Nuernberg Hbf 22:37 -> Hof Hbf 00:02 (2x605) -ICE 1666 Hof Hbf 05:32 -> Nuernberg Hbf 07:21 (2x605) -ICE 1664 Chemnitz Hbf 05:55 -> Nuernberg Hbf 09:21 (605, zw. 2x605) -ICE 1662 Dresden Hbf 06:42 -> Nuernberg Hbf 11:25 (605, zw. 2x605) -ICE 1660 Dresden Hbf 08:42 -> Nuernberg Hbf 13:21 (2x605) -ICE 1568 Dresden Hbf 10:42 -> Nuernberg Hbf 15:21 (605, zw. 2x605) -ICE 1566 Dresden Hbf 12:42 -> Nuernberg Hbf 17:21 (605, zw. 2x605) -ICE 1564 Dresden Hbf 14:42 -> Nuernberg Hbf 19:25 (605, zw. 2x605) -ICE 1762 Zwickau(Sachs)Hbf 17:53 -> Nuernberg Hbf 20:21 (605) -ICE 1562 Dresden Hbf 16:42 -> Nuernberg Hbf 21:21 (605, zw. 2x605) -ICE 1560 Dresden Hbf 18:42 -> Nuernberg Hbf 23:21 (605, zw. 2x605) -ICE 1799 Dresden Hbf 22:22 -> Nuernberg Hbf 03:30 (2x605) ※Haltebahnhofe: Nuernberg Hbf - Bayreuth Hbf - Hof Hbf - Plauen (Vogtl) ob Bf - (Reichenbach (V) o Bf) - Zwickau (Sachs) Hbf - Chemnitz Hbf - Freiberg (Sach) - Dresden Hbf Nuernberg Hbf - Marktredwitz - Hof Hbf - Plauen (Vogtl) ob Bf - (Reichenbach (V) o Bf) - Zwickau (Sachs) Hbf - Chemnitz Hbf - Freiberg (Sach) - Dresden Hbf ICE1790 Muenchen Hbf - Ingolstadt Hbf - Nuernberg Hbf - Marktredwitz - Hof Hbf - Plauen (Vogtl) ob Bf - Reichenbach (V) o Bf - Zwickau Hbf *zw.: zeitweise 不定期 |
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2001年9月には、Hof工場で605 009 / 605 109の2両がジャッキから落ちる事故があり、修復不能となって、2002年12月31日付で廃車となった。Tz 5509の残りの2両は予備車となったため、19編成が残った。 2002年にはエンジンとトランスミッションの連結部に問題が見つかり改良工事が行われた。この頃には、ICE-TDの定時運行率は95%まで向上した。しかし、8月初旬には中央ヨーロッパ全域を大規模な洪水が襲い、8月13日にはDresden-Chemnitz間が不通となり、以来ICE Line 17は、Nuernberg Hbf - Chemnitz Hbfに短縮された。 2002年10月2日、Gutenfuert付近でICE 1799 (Chemnitz - Nuerberg)が脱線事故を起こした。原因は車軸が折損であった。10月6日には全ICE-TD編成が運用から外され、全列車が機関車牽引列車で運転された。1週間後には運用に復帰したが、振子装置の使用は取りやめられた。 12月のダイヤ改正では所要時間の短縮が図られることになっていたが、振子装置を使えない状態では遅れが増すだけの結果となった。このため2003年4月27日に再度ダイヤが変更され、Bayreuth経由からMarktredwitz経由とされたものの、Nuerberg - Chemnitzでは所要時間が30分程度長いものとなり、列車本数も2往復が削減された。これに合わせ、運賃もICと同程度に値下げされた。 2003年7月24日、連邦鉄道局EBAは専門家による車軸の詳細な調査を元に、ICE-TDの運行認可を取り消した。Nuernberg - Chemnitzの列車は232形または234形牽引の客車列車または612形振子気動車、Muechen - Lindau - Zuerichの列車は218形牽引の客車列車による代替運転となった。8月15日には最高速度が比較的低いMuenchen - Zuerichのみ運行が許可され、ICE-TDによる運行に戻された(振子装置は固定)。Nuernberg - Chemnitzは10月以降、610形振子気動車(振子装置は固定)によりIC扱いでの運行に変更された。 DBはICE-TDの技術的な信頼性が確保されないこと、運行コストが高価であること、さらにICE-TDのブランドイメージが低下したことから、2003年12月14日のダイヤ改正を機にICE-TDの運行を完全に取りやめた。Muenchen-Zuerichは218形ディーゼル機関車重連による客車列車に置換えられ、ECとして運行されることとなった。Nuernberg - Chemnitzは特別仕様とされた612形気動車(ICE塗装となり、1等車の座席がICEと同じものに変更された。)により、Nuernberg - Dresden (- Goerlitz)間のICとして運行され、振子装置も用いられ、所要時間も再び短縮された。しかし、612形も2004年8月には車軸のトラブルで振子装置が使えなくなり、機関車牽引のICに再び戻された。612形は振子装置のトラブルに加え、元々近郊輸送用でICとしては車内設備に問題があったこと、速達効果に限界があったこと、乗客数が伸び悩んだことなどから、2004年12月12日のダイヤ改正では612形の使用計画は放棄され、正式に機関車牽引のICとして運行が継続されることとなった。2007年12月10日ダイヤ改正では、ついにこの区間のICも廃止された。代わりにDB Regioが612形によりREを運行することなり、”Franken-Sachsen-Expree”という愛称も付されている。 2003年12月以降、ICE-TDはMuenchenやHofなどで留置された。一時はSiemensへの返却も検討されたようであるが、非電化路線の顔として活躍が期待されたICE-TDであるが、登場からわずか2年半でその運行を終えることとなった。しかし、車齢が新しく、車内設備も充実していること、トラブル続出の原因となった振子装置を除けば、高性能の走行機器を有することからなどから、新たな用途が模索された。最も有力だったのは隣国オーストリアでの使用である。OeBBはこのICE-TDを用いてICやECを運行することを検討し、実際に試運転も行われたが、結果的にこの計画は見送られた。 |
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復活とデンマーク直通運用 |
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ICE-TDが電撃的に復活を遂げたのは2006年4月のことである。19編成のうち9編成が再整備され、まず週末のKoeln
- Hamburg間のIC 2760/2761/2780/2781に投入され、さらに6月から7月にかけては、ドイツで開催されたサッカー・ワールドカップの特別列車にも使用されたのである。しかし、ワールドカップ終了とともに、ICE-TDは再び運用を離れた。 2007年ダイヤ(2006年12月10日ダイヤ改正)では2編成併結で、金曜のIC 1846 (Hamburg - Hannover - Koeln)、日曜のIC 1808 (Koeln - Hamburg)を担当することとなり、久しぶりに定期運用が復活した。また、2007年4月にはHannover Messe用の特別列車にも使用された。 |
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2006年12月から、DBとデンマーク国鉄DSBの間で、ICE-TDをドイツ・デンマーク間の国際列車に用いる計画が持ち上がった。元々、ドイツ・デンマーク間にはDSBの気動車IC3によりECが運行されていたが、IC3が老朽化してきたことにより、DSBが開発中のIC4に置き換える予定であった。しかし、IC4の開発は遅れに遅れ、営業運転の見込みが立たない状況となり、代わりに白羽の矢が立ったのがICE-TDであった。 2007年4月24日にはICE-TDの試運転が開始された。充当される予定のHamburg - Copenhagen間はVogelfluglinie渡り鳥ラインと呼ばれ、特にPuttgarden - Rodby間はフェリーでの航送区間である。4月25日にはICE-TDは初めてフェリーで海を越えた。 デンマーク直通に対応するため、ICE-TDには順次直通対応工事が行われた。主な改造内容は以下の通りである。 - デンマーク用の保安装置ATCの搭載 - デンマーク向け列車無線装置の搭載 - GPSを利用した列車位置特定システムTRITの搭載 - 先頭の車軸へのATC用スピードセンサーと記録装置の搭載 - クリアランス確保のためのスカートを約30pカット - 荷物ラックの拡張 - 車内情報表示や各種表記のデンマーク語対応 - 運転台へのスピードメーターとディスプレイの追加 これらの機器の搭載に伴い、先頭車の定員がやや減少している。 2007年12月の直通運転開始の時点では、Tz 5503 / 5504 / 5507 / 5517 / 5518 / 5520の6編成の対応工事が完了した。2008年3月までにTz 5506 / 5510 / 5516 / 5519の4編成、2008年9月までにTz 5505 / 5511 / 5514編成も追加され、現在デンマーク直通用編成は13編成となった。デンマーク直通対応編成は前面のDBロゴが消され、側面にはDBとDSBが並べて描かれていた。 |
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2008年ダイヤ (2007年12月9日改正)からデンマーク直通運転が開始された。ICE-TDはDBからDSBに貸し出される形が取られ、ICE Linie 75 (Hamburg - Copenhagen)、ICE Linie 76 (Hamburg - Flensvurg - Aarhus) の2路線が設定された。ICE-TDで運行されたのは、ICE 37/38 (Berlin - Hamburg - Copenhagen)、ICE 380/381 (Berlin - Hamburg - Aarhus)で、これらの列車はBerlin - Hamburg間で併結された。2008年1月6日にはICE 32/33 (Hamburg - Copenhagen)、3月15日にはICE 386/387 (Hamburg - Aarhus)も追加された。 なお、2008年春からは前面にDSBマークが描かれ、また側面最前部にICE 3と同様にICEロゴが入れられた。 |
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2009年3月1日から6月13日の間、Berlin - Hamburg改良新線のリニューアル工事が行われたため、ICE
37/380とICE 38/381のBerlin - Hamburg間の運行が取りやめられた。代わりにUelzen経由でBerlin
- Hamburg間にICE 1661/1668の1往復が設定され、ICE-TD 2編成併結で運行された。リニューアル工事終了にともない、6月14日からは元の運行形態に戻され、現在はICE
Linie 75とLinie 76で2往復ずつ運転され、1往復ずつが併結されBerlinまで直通している。Berlin
- Hamburg間は最高200 km/h、その他のドイツ国内区間は最高140 km/h、デンマーク国内は最高180
km/hである。 DBとDSBはICEの運行につき、13年間の契約を結んでおり、当面は活躍を続けるものと考えられる。また、6編成は運用から外れたままであるが、DBとPKPの間でポーランド直通列車への運用が検討されているとのことである。 |
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(参考) ・Deutsche Bahn AG http://www.bahn.de ・Lok-Report http://www.lok-report.de/ ・Eisenbahn Kurier http://www.ek-verlag.de/ ・"Eisenbahn-Journal" 10/2001 ・"Eisenbahn-Revue" 10/2000, MINIREX AG, Luzern ・"Today's Railways" No.76/80/82/86/90/93/94/96, Platform 5 Publishing, Shefield, England ・"BAHN EXTRA Bahn-Jahrbuch 2003", GeraNova Zeitschriftenverlag, 2003 |
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Last Update: 28.06.2009 Title Photo by M. Kesamaru Text by Akira Inoue (aav18170@par.odn.ne.jp) / Hisayuki Katsuyama (ny8h-ky@asahi-net.or.jp) |